男は町並みを歩いていた

「腹減ったな。何を食べようか・・・」

男は袖の中に入っている財布を取り出し重さを確認する


「・・・買ってくか」

男は再度財布を袖にしまい込み呟く



男が進んでいき人だかりが増えていくにつれ周りは賑やかになっていく

時々擦れ違う人がこちらを見るが男はさも気にせずに向かっていく


いらっしゃいいらっしゃーい

これはどうだい?

それを頂戴な

毎度!

明るいやり取りも聞こえてくる


そして男は賑やかな一つの店の前に立ち止まった


「いらっしゃい。お、珍しい狛津(こまつ)じゃないか」

八百屋の男が男を見つけ明るく話し掛ける

「おー久々だなおっさん。いつもと同じのくれ」

そう言い財布を取り出し中から数枚銭を抜き取り八百屋の男に渡す


八百屋の男は紐に縛り付けてある野菜を狛津と呼ばれた男に渡す。狛津はふと八百屋の男が片手に持ってる物に目がつく

「はいよ、毎度あり。悪いんだが狛津よ、これを頼みたいんだがお願い出来るか?礼ははずむぜ」

「交渉成立。何処に持ってくんだ?」

「町を少し離れた団子屋に渡してくれないか?」

「あぁあの団子屋か。俺としては国入る前にあるあの団子屋がお勧めだがな」

「おお、あそこか。あそこも中々いいよな。あいよ、これは礼だ」

そう言い男は野菜をニ本腕に取り野菜と男が持っていた物を渡した

「狛津よ、ちょいと頼みたい事が・・・」

「悪いが他をあたりな」

八百屋の男の次の言葉が分かるかの様に急に会話を終わらせた







「んじゃまた来るな」



そう残して狛津は人だかりの中に入っていったのであった