千紫の領地が浬張の当主楠木の手により滅び一月(ひとつき)経つだろうか

卯月から皐月へと月日が変わり木々には緑の色が多く茂っている




主を無くした鶴水城は今どうなっているのか・・・







「よっと」

まだ少年と言える人物が塀を飛び越える姿があった

少年は駆けていき城内へと入って行く



「(あれ、おかしいな。確か大体此処に居るはずなのになぁ・・・)」
いつの間にか少年は天井裏に入り城内の中を探索していた



そして右へ向かおうとしてたら


カカッ


目と鼻の先の距離だろうかの所に刃物が浮き出ていた

大量の冷や汗をかく少年を他所に下から声が聞こえた

「そこでこそこそしてる奴。さっさと面を出せ」

どうやら少年の事はばれてる様で仕方なく少年は天井裏から飛び降りた

「オイラ使いで来たのにこの招き様酷いんだけど。はいこれ」

そう言い少年もとい羽柴 五郎は目の前のまだ青年と見られる翡翠色の瞳をし濃茶に薄く緑が入っている髪をし端整な顔をしている人物に使いの物を渡した

青年は文を読みながら
「・・・ふーん。緑(りょく)の奴こんな事の為にわざわざのう」


緑とは五郎の主もとい柏木 圭吾の幼名である緑儀から取った名であり今もその名を呼べるのは目の前の青年しかいないだろう