先程までの喧騒が嘘のように、一瞬で静まり返っていた。

この教室内全ての視線が、釘付けになっている。

皆呼吸を忘れたかのように動こうとしなかったが、壁掛け時計だけが唯一、大きな心音を鳴らしていた。



悠太が顔を上げるのと同時だった。



彼女もまたゆっくり振り返ると、その目は下にいる彼を真っ直ぐに捕捉する。

それはまるで獲物を捕らえて離さない、天敵の眼光のようでもあった。





「あーあ、とうとうやっちまったか」


大輔は誰に言うでもなく、無意識のうちに小さく呟いていた。





「……カンチョー」





隣では、既に背を向けている圭吾が身体を丸め、両肩を小刻みに揺らしていた。


(ホント、悪趣味な奴)



大輔は呆れつつも、この後に待っているであろう彼の災難を危惧するのだった。

【2010.10.15 Fin】


●あとがき●


その内に続編書けたらいいなぁと思っているので、ここではまだ完結にしていません。

ただ現在のところ、書く時間が取れない状態なので、時期はまだ未定といった感じです。

兎も角ここまで読んで下さって、本当にありがとうございます。
m(__)m