坂井家の事情

斗真は何とか答えようとしているようだったが、しどろもどろである。その間二人の視線は、疑いの眼差しに変わっていく。

「そ、そ、それより、お前たちはどうなんだ。
川上のノート1冊でこの役目は、割に合わないと思うんだが」

見張りが楽ではないということを痛感していた斗真は、逆に二人へ尋ねた。

「それは……まあ……色々と…」

「俺にも理由が…」

同時に答える。

が、斗真の態度が伝染したのか、その様子には落ち着きがなかった。

3人の探り合うような視線が交差する。

互いに通わせ合った彼らは、同時に確信するのだった。


(コイツらも絶対他に、何か弱みを握られているに違いない!)