「なあ、圭吾」

悠太がさやかへ向かっていった。

歓声を上げるクラスメイトたち。

それらを見ながら大輔は、隣に並んで立っている圭吾に話し掛けた。

「この教室、こんなに煩くて大丈夫なのか?
一応シバセンはこの事を知っているけれど、他の先生が見に来たらヤバいんじゃないか」

今日からテスト準備期間に入るため、どの部活動も活動停止状態である。

生徒が残っていないはずの教室が騒いでいたとしたら、外部の者が不審に思って様子を窺いに来てもおかしくはない。

「お前普段はエロいことしか頭にないくせに、たまには変なところを気にするよな」

「ほっとけ!」

「変……といえば」

圭吾は腕を組みながら考え込むように、さやかへ果敢に挑んでいる悠太を見詰めた。

「アイツいつも、変なところで勘がいいんだよな」

「え?」

「……いや。
それより何で僕がわざわざ、掃除の時間限定で対決させていると思ってるんだ?朝のホームルーム前に、その理由を言ったはずなんだけど」