「翔、お帰りー」

「ただいまー」

狼谷翔、16歳。

大阪に住むごく普通の高校生。

・・・といいたいんやけど、ちょっと違う。

俺には"ある力"がある。

"過去を見る力"。

ものや人に触れると、それまでに何があったのか、辛い思い出や楽しい思い出も全て分かる、複雑な力だ。

正直、この力が俺は嫌いだった。今も嫌いだ。

でも、役立てることができると気付き、昔よりは力を受け入れられるようになった。

俺の力で誰かが幸せになれる。それだけで嬉しかった。

そして・・・・

「こんばんはー!おばちゃん!これ、肉じゃがやねんけど、食べてや!」

「まあ紗枝ちゃん!ほんま助かるわー、ありがとうね」

「いえ、オカンが作りすぎただけですから!」

この堂々と家へ乗り込んできた人物。

榊紗枝。俺の幼馴染にして同士。

そして少々ウザイ。

同士というのは、コイツにも"力"があるからだ。

コイツの力は"未来を見る力"。何十年も先のコトは見えないらしいが、1年とかなら触れたもの、人の未来が分かるらしい。

幼いときから喧嘩が絶えない。

でも何故か分からないが、小・中・高と同じ学校へ通っている。

まあ特に意識したことはないのでどうでもいいのだが。

そして、最近俺とコイツは"仕事"を始めた。