「・・・・先輩」

俺は先輩に話しかける。

「狼谷くん、真相は分かりましたか?」

さっきの動揺は既に消えている。

いつものニコやかな笑みを浮かべている。

「・・・ええ」

俺もニコやかな笑みで返す。

「じゃあ、教えてもらいましょうか」

先輩は座っていた椅子から立ち、こちらを見る。

俺も先輩の方を向き直り、言う。

「犯人は、アンタやない。」

そして、続ける。

「そして、これは殺人事件でもない。ただの仕組まれた芝居や」

相変わらず先輩は笑みを浮かべたまま。

紗枝は俺の推理に聞き入っている。

「・・・・な、父さん。」

「え?」

紗枝の驚きの声。そして・・・・

「・・さすが、俺の息子やな」

被害者・・・・

腹部から血を流した俺の父が、立ち上がる。

「えええええええええ!!」

紗枝のなんとも可愛らしくない悲鳴?

「いやー、あの体勢疲れるよね、しかも動いちゃいけないし?」

ハッハッハ、と変な笑い方をして、父は続ける。