「・・・なあ、狼谷」

俺等以外いなくなった部屋で、ヤツは俺に喋りかける。

「なんや」

俺はドアに近づきながら言う。

「なんでうちに言うてくれんかったん?!事件があんな地味やってこと!」

ヤツは案の定俺の腕を掴み、逃げれなくする。

ヤツは意外と力が強い。

「事件は事件やろ。地味とか関係ないやん?」

俺はそういいながら何気にヤツの手を離そうと努力する。

「あるねん!地味すぎやん!あんなのご近所トラブルレベルやん!地区の集会でも開けばいいやん!」

ヤツは俺の腕を掴む手にさらに力を込める。

「いっ・・・集会開くほど仲良くないんだって多分!だから俺等に依頼したんだって!」

俺は血が止まっていることを感じながらいう。

さすがに俺死にそうやねんけど・・・

ヤツはそんなこと気に止めずに言う。

「だからってこんな地味やとは思わんやろ?!確かにあのオッサン殺人とかしそうじゃないけど!」

俺は言う。

「大体なあ、殺人事件の依頼なんて来んわ!普通警察に任せるわ!それに高校生の俺等に依頼するヤツなんて滅多におらんやろ!依頼は一つ一つ大切にしなかんねん!」

俺は長ゼリフを噛まずに言えてちょっと満足。

しかしヤツは不満顔のままだ。

だが文句は収まったらしい。俺の手が血色を良くしていく。

「分かったわ!けどな、これからは事件の内容、全部うちに教えてから活動や!分かったな、狼谷!」

ヤツは最後に捨てゼリフ的なものを吐いて出て行く。

「・・・・面倒やわ」

俺は椅子に座り、窓から見える空を眺めた。