「整理すると・・・先輩の過去に、"殺した"過去はない。そして何故か東城くんのネックレスを持っていた。・・・ってこと?」

「そうやな・・・」

俺は部屋にあった椅子に腰掛け、考える。

「つまり・・・単純に考えて、先輩は殺してない、ってことになるな。」

俺は思ったことを口にする。

「じゃあ、なんで先輩は自分が殺した、なんて・・・」

そう。そこが問題なのだ。

何故やってもいない殺人を、わざわざ自分がしたと?

だとしたら、真犯人は一体・・・・

「先輩は、何を考えているんやろか・・・?」

紗枝は混乱していた。もちろん、俺も。

そして、もうひとつ気になることがあった。

「なあ・・・・」

「なんや?」

俺は紗枝に問う。

「ここは・・・誰の部屋なんや?」

「え?殺された被害者の部屋なんやないの?」

普通はそう考える。

しかし、そう思えない点が、この部屋には存在した。

食器も、歯ブラシも、ソファーも、全て2つずつあるのだ。

「誰かと、一緒に住んでたとか・・・ちゃうの?」

「俺も最初そう思ったんやけどな、この部屋・・・違和感ないか?」

「違和感?」

そう。

違和感があった。この部屋には。