「ちょっと!あんな事言っちゃって大丈夫なん?だって殺人事件やろ・・・」

「お前、殺人事件とかの依頼欲しいって言ってたやん」

「あんなん、冗談に決まってるやろ?!あーもう!どないするん?!」

殺人現場の1つ隣の部屋に俺と紗枝はいた。

先輩は・・・現場にいる。

「証拠を見つけろ、言われてもなあ・・・」

正直、俺は戸惑っていた。

先輩の裏の顔を見たような気がして。

昨日から俺達に依頼するつもりだったのだろうか?

だから俺達の名前を知ってた・・・

そうすれば、辻褄は合う。

せやけど、先輩はなんか変や。

普通、人を殺したらもっと動揺するやろうし、その場から逃げるだろう。

しかし先輩は、逃げもせず、ましてや警察にも通報せず、俺達に依頼した。

このことがさす意味は・・・・?

「あーもう!!」

俺にはまだ1つも分からなかった。

それで、俺はイライラしていた。

「なあ、狼谷。」

俺は紗枝に喋りかけられるが、応えない。

紗枝は俺の心中を察しているのか、俺が応えなくてもツッコまない。

「被害者に触れて、過去を見るのは無理なんか?そしたら、証拠も真実も出てくるやろうし・・・」

紗枝は最もな意見を言ったと思う。

だが・・・・

「それは無理や」

俺にはどうしても出来ない理由があった。