「・・・・っ!!!」

俺と紗枝は驚きを隠せない。

そしてこの状況でも笑顔の先輩にも驚いてしまった。

「先輩・・・これは・・・」

俺はなんとか声を振り絞り、先輩に聞く。

「これが、依頼です。」

先輩は沈黙をおいて、衝撃の言葉を口にする。

「僕が殺しました。さあ、証拠を見つけてください」

「え・・・・・・」

俺は思わず声に出してしまった。

まだ状況があまり把握できない。

それは紗枝も同じようだ。

先輩を見つめたまま、動かない。

「どうしました?依頼、受けてくださるんですよね?」

そういう先輩は笑ったまま。

「・・・んでや」

「はい?」

「先輩は!!先輩は、どうして人一人を殺めておきながら笑っていられるんですか!」

俺は怒りで震えた。

先輩はさすがに驚いたのか、キョトンとしてこちらを見ている。

紗枝の方は我に返ったようだ。

「なんでや!なんで人殺さなあかんかったん!なんで・・・なんで・・・」

俺は相手が先輩という事も忘れ、怒鳴り散らす。

そんな俺を見た先輩は、また笑みを浮かべ、言った。

「何故殺さなければならなかったのか・・・・。それを調べるのも、依頼のひとつです」

そう言った先輩は、近くにあった椅子に腰掛ける。

「さあ、狼谷くん、投げ出しますか?それとも、依頼・・受けますか?」

先輩は挑発的な口調で俺に喋りかける。

ほんの些細なことなのに、今の俺にはそれさえ許せなかった。

「受けるわ。」

「え?」

紗枝は驚いている。

「受けたる!先輩、アンタは絶対許さん!!」

そう言って、俺は隣の部屋へと入っていった。