「おはようございます、狼谷翔くん」

相変わらず笑みを浮かべ、俺に挨拶をする。

俺は戸惑いながらも、挨拶を返す。

「お・・・おはようございます」

「急に来てしまい申し訳ありません。実は・・・」

先輩は間をあけて、言う。

「依頼をしたいのですが」

そういう先輩の顔は、いつもの笑みを浮かべていなかった。

今まで見たことのない、真剣な表情で、こちらを見ている。

「依頼・・・・ですか?」

俺はまだ戸惑いを隠せない。

「はい、依頼です」

そう言った先輩は既に笑顔に戻っていた。

休みの日にわざわざ来なければならないような依頼なんやろか?

それとも、わざと、休みの日に・・・?

「どうしました?」

山崎先輩は首をかしげる。

「あっ・・・いえ!なんでもないです!で、依頼ってなんですか?」

俺はとりあえず依頼の話へもっていく。

「受けてくれるんですか?」

「え、はい、可能な限り・・・・・」

「それは光栄です」

ニコニコと笑みを浮かべたまま、先輩は言う。

「着いてきてもらってもいいですか?」

「え・・・・・はい・・」

後ろを向いた先輩は・・・・・

笑っていたのだろうか?それとも・・・