ギリギリ間に合った俺達は、適当に授業を受け、放課後を待つ。

俺は寝てただけだが。

そして6限が終わり、俺達は生徒会室へ向かう。

そこには既に山崎先輩がいた。

「山崎先輩!」

紗枝が話しかける。

本を読んでいた先輩は、俺達に気付くと、微笑んでくれた。

「待ってましたよ。それで、私に何か?」

「あっ、そや!あの、この東城が物を失くしたんですけど・・・知りません?」

そんな唐突に聞いて、知ってますなんて言う人おるんか・・・?

「物・・・?一体何を失くしたのですか?」

・・・・やっぱり。

「ネックレスです!めっちゃ大切なネックレス!」

犬が会話に入る。

「ネックレス・・・・・。それは校則違反では?」

「だから山崎先輩に聞いてるんです!そんなのあったら回収とかしてるかなと思て!」

「そういうことですか」

先輩はニコニコ笑いながら俺達を見る。

「・・すみません、見てないですし、届いてないですね」

「そう・・・ですか」

「お役に立てず申し訳ありません。もし見つけたら届けに行きますね」

「はい、お願いします!」

「それでは、生徒会で会議がありますので、僕はこれで。」

「わざわざすみませんでした」

そう言うと、さっきと同じ笑みを浮かべ、山崎先輩は生徒会室へ消えた。

その笑みが何を意味するのか、そのときの俺達は考えもしなかった。