「・・・つまり、犯人は・・・」

静まりかえる現場、俺の足音。

俺は立ち止まり、指を指す。

そして・・・

「中谷さん、アンタってことー!!!」

俺の最高の舞台。

俺の最後のしめの言葉。

しかし、俺ではないヤツの声がそれを台無しにした。

「・・・・・・おい」

俺はその"台無しにした"ヤツに言う。

「え?何?合ってるやろ?あれ、もしかして中野さんだっけ?」

ヤツは淡々と言葉を呟く。

「観点が違うねん!ドアホ!」

俺は精一杯の力でヤツの頭を叩いた。

「痛っ!何すんねん!ドアホはアンタやん!ドアホ!!」

「はぁ?俺のどこがドアホやねん!」

「全てがやん!容姿から行動まで何もかもがやん!」

「お前の存在がドアホやわ!いい加減にせぇよ!」

ドアホの言い合いは終わらない。

「あっ・・・あのー・・」

横から怯えた声が飛ぶ。

「何や!」

俺はヤツを睨みつけながら言う。

「事件・・・のほうを・・・」

「事件?意味分からんわ!何が事件・・・」

ハッ

そこで俺は我にかえる。

「・・事件な、事件。」

俺は顔をシリアスな感じに戻して言う。

「さっきも言ったけど、この事件の犯人は、中谷さんや」