思わず強く握ってしまった。


「長月………」


水無月は少し動揺していた。


「幸せになれよ」


そう耳打ちして、次に回った。



(最後。これが、水無月と触れた最後になるんだ...)


考えた自分が馬鹿だった。

泣きそうになった。



まだ、手に残ってる、水無月の手の温もり。


今握ってる手なんて、なにも感じなかった。



「それでは、キャンドルサービスを始めます」


司会は水無月がやっていた。


確か、レク係の係長だったかな…。



蝋燭の火を見つめながら、今までを振り返った。


4月から色々あったな…


叶わない、この気持ちは伝わらないと思ってた恋が叶って、でも、別れて……。



長いようで、短いな。


後三ヶ月くらいで、二年生は終わってしまうんだ。



二年生が終わったらクラスが変わってしまう。


水無月と離れたら、楽になれるのかな………?



ガラスに映った火が少しずつ消えていく。


出席番号順に消していく。


「20番の人は、火を消して下さい」


フッと消えた火ははかない。はかないものだ…。



感傷的になっていた俺。


真っ暗闇にポッカリと浮かんだ月を見つめて、一筋、涙が流れた。


──…さよなら




俺の切ないMelodyは消えた。


一方で、水無月のMelodyが師走のMelodyと重なろうとしていた。