水無月が指揮者賞、伴奏者賞を総ナメ。


俺は伴奏者賞を貰えなかった。


水無月に勝てなかった。



金賞は三組、銀賞は一組。
俺らは何も取れなかった。



悲しい。

みんな泣いてる。


取りたかったな、金賞。




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合唱発表会が終わると、いよいよ受験モード。


俺は未だに志望校を決めてなかった。



「歩夢ッ」

「あっ葉月」


最近葉月と恋愛話するな。

葉月は一組の皐月と付き合ってる。

でも葉月は、皐月は自分を好きじゃない、かもと不安を抱えていた。


「皐月…ホントに俺のこと好きなのかな?」

「皐月は悪い奴じゃないし、照れてるとか」

「なら良いけどォ
あ、水無月の志望校聞いちゃった」


葉月がまた水無月の話題をだしてきた。

よく出すな、水無月の話し。

まぁ俺が水無月を好きって知ってるのは葉月だけだし。


「どこ?」

「遠いし、学区が違うんだけど、櫻宮だって」

「え、遠いな」

「なんか音楽の専門知識とか学べるからとか言ってた」


音楽……か。