「長月くん、これ夏休みの音楽室での練習予定の希望表ね」


担任から渡された。


(去年も一昨年も...水無月と一緒だったのにな)



切なくなる。

毎日に水無月が紛れてくる。


叶わないって分かってて好きなんだ。

苦しい。



数日後、予定が決まり、またプリントが来た。


「あっ……!」


俺の練習時間の前に水無月の練習があった。



「7月28日の4時からだよね?」


如月。自由曲の指揮者。


俺は水無月以外の指揮者で伴奏は弾いたことが無かった。


「あ、そうだな」

「遅刻しないでよ?((笑」

「はいはい」


如月は苦手だ。

しかも師走の彼女だし。



師走はなに考えてんだろ…。

人ってこんなに早く忘れちゃうのかな……。


水無月も、もう俺なんか好きじゃないのかなぁ……。



悲しくなって、窓から見える夏の空を見た。


「……忘れてませんように」


俺は思わず呟いた。