「まぁ先生、近頃顔色が良くなくてよ?」


女はコーヒーをすすりながら、向かいの席についている男の顔を覗き込む。


「…気のせいだよ。私は元気さ」


少し遠くを見た様な目で男は答える。


「そうですか?ならいいんですけど…何か心配ごとがあるなら仰って下さいね」


女は男の目を見つめ、手を握る。


「ああ、ありがとう。君は本当に感謝しているよ…良ければここのカタラーナ風プリンは絶品だ。食べていきなさい」

「まあ、喜んで」


男は右手を上げ、店員を呼んだ。