スクリーンが上に引き上げられ、女が舞台上手から登場。

ゆっくりと確かな足取り、中央でピタリと止まる。

舞台のスポットライト、ホリゾントライトは共に赤へと変わる。


「ふふ…これは罰よ。当然の報い!初めに爪で絵を描いたのは私の父だった…それをどこから聞きつけたか、アイツがやって来て…そのせいで父は…父は!」


女はくわ、と目を見開き髪を掻きむしる。

そして崩れる。


「これで終わったわ…何もかも。復讐って案外つまらないものね。私、次から何を心の支えに生きればいいのかしら…」


女はゆらり、と立ち上がり呟く。


「私も爪が甘かったのね、まさかあの男の事を…」


スポットライト、ホリゾントライトは青へと変化する。


女は力無く、舞台下手へ歩いて消えて行く。



舞台、幕。


【終】