舞台中央、暗闇の中に1人の男が佇む。

男は初老。カーキ色のズボンに、白のくたびれたワイシャツを着ている。

そしてぶつぶつと何か口籠もっている。

一転。

男にスポットライトが当たる。

男は頭に手を当て天を仰ぐ。


「ああ、何故私の爪はこうも醜く汚れているのか。私は爪に捕らわれ、爪に生きる者。神からの思し召しは、幸と不幸の両刃。この苦しみが誰に理解できようか…!」


男、ストップモーション。

舞台、暗転。