ますかれーど

空は泣くことをやめ
闇の雲は破ける。

けれど

光の姿はどこにもない。


星たちがチカチカと力なく瞬く、

暗い 暗い夜だった。




「心ちゃん、気を付けて帰るんだよ?」

「ほんとに1人で大丈夫?役に立たないかもしれないけど、クロ連れてく?」



暗い夜道を帰ることを心配してくれている紅澤夫婦。

大雨の中、ダッシュして麗花の家まで行ったけど、びしょ濡れだった。

あの無駄に広い庭がいけないんだと思ったよ。


お風呂を借りて、着替えて、ご飯を食べて。

ここにずっと居たいけど、やっぱり私は自宅に帰る。



「あ、大丈夫です。いつもの道だし」



防犯ブザーを4つも渡され、紅澤家を出た私。


月のない夜はやっぱり暗くて静かで、私の靴の音だけがコツンコツンと響いていた。

何だか少し心細くって、渡された防犯ブザーの1つをぎゅっと握る。



「やっぱり、付いてきてもらえば良かったかなぁ‥」



そんな言葉が出る程、紺一色に飲まれたこの世界を、少しだけ恐く感じた。

でも、玄と2人になるのはちょっと抵抗があって‥。


靴があったから、帰ってきてるのは分かった。でも、部屋に籠もったきり出ては来なかった。


どこかほっとしてる自分と、どこか寂しく思ってる自分が居る。



アイツの出現で、確実に変わった私の周り。


仮面を被ることで、平穏無事に過ごしていたはずなのに。

こうも容易く砕かれるなんて。



ねぇ‥あの仮面って、意味あったのかな?

仮面を砕かれた今の私、とてもとても楽‥だと思う。



ピチャンッ



「わぁー‥」



考え事をしながら歩いていたもんだから、水溜まりに足つっこんだじゃないか。


頭が現実に戻った私。
ふっと顔を上げると、そこはまだ学校の校門前でーー‥




『待ってるから』




ーーっ!!

耳元で聞こえた声が、また頭を支配し始める。



「まさか‥ね。あんな雨だったし。第一、もう0時くらいだし」



否定の言葉を並びたてつつ、中庭へと足が向かってる私は、おかしい?



コツン‥コツン‥



木がさわさわと揺れる度に落とす雨露が、ポタポタと音楽を奏でる。

夜の光に見えてきた白い百葉箱。



そして、


赤いベンチに見えた
1つの‥影。