血気盛んな男子と強気で一言多い女子との間には、
しばし一触即発の雰囲気が流れた。






今となっては
みんな冗談半分で言っているだけなんだが…


本気で突っかかってるのは美羽だけ…―。






…―残念な女。





とっても残念な女なんだけど、美羽は紅一点だった。





俺たち水泳部はほとんど男子。






わずかな女子部員といえば、がっちりガードされた競泳水着に鍛えあげられた肩。





正直、女として見てなかった。
というか、興味もなかったし。







そんなS中水泳部にマネ?雑用?として顔を出すようになったのが
武田先生の娘の美羽。





小っちぇーし。





肩、ほっそ〜だし。





色、白いし…。





そこまでは普通の中3女子なんだけど、






美羽が人一倍目立っていたのは、金髪の髪に、くりんくりんの目。






どこぞのお人形ですか…―?
という雰囲気に妙に惹かれた。







これは俺だけじゃない。
他のやつらもきっと同じように感じていた。






ただ、その気持ちを深く追及することもなかったし、
正直、そんなこと考えてる余裕もなかった。






水泳で結果を残すことだけ。そのことだけに集中していた。