ドック…ドック…ドック… 鼓動がはやくなる。 『光太郎君だかなんだか知らないけど、何言ってんの?あんた。 あんたらみたいな奴のせいでね、美羽は……』 わたしの肩に手をまわしながら、ゆずちゃんが声を荒げる。 杉本君がつくりあげた温かい空気は、一瞬にして凍りついた。 気持ちが戻ってゆく…―― なにも知らなかったあの頃に… 虚勢を張ることでしか人とつながれなかったあの頃に……