「どっちにしても無理。もうボロボロだからね、俺。夏が終わったら受験する。野球は関係ナシでね」

「え?」

「これが最後だから、好きにするって決めたんだ!」


透き通った、何て力強くて真っ直ぐな瞳なんだろう。


先輩は、今まで私が見た中で一番、キレイで気合いの入ったフォームで投げた。


ボールは的のど真ん中、4分割の中心線へ命中した。


あたしはなんだかすごく、胸が熱くなった。好き、とは違う別の何か。


きっと先輩のその純粋な気持ちに震えたんだ。


あたし、この人を好きになって良かった。