ジャラジャラとした玩具みたいなストラップがまた1つ増えたように見える。 右手には重たい携帯、左手には手帳を持った麻美が 席を立って小走りで近寄って来た。 少し高めで甘い、大袈裟な声は教室中の視線を集めるには十分過ぎるくらいだ。 「うん、気分転換よ」 ニコッと自然に、そう、自然にしたつもりだけど、 麻美はそんなのお構いなしに次々と言葉を投げてくる。 麻美に通じ無くてもそれは別にいい。 あいつが見ていれば。 横目で窓際の席を確認しながら私は再び笑みを作った。