「私はそれに加えて母親からの暴力もあった。ある日、学校から帰ると、家の扉が開かなくて、母を呼ぶと、合言葉がないと、家には入れないって言われて。もちろんそんなの知らないからその日付けで私は親に捨てられたの。」
 「ひどい。そんなことがあるなんて。」
そう怒っていたのはもえだった。
 「でも、今は祖母の所で暮らしているから大丈夫。」
一通り話した所で次は、もえが話し始めた。
 「私にもそういう子がいた。
  舞って子なんだけどね。
  舞は姉と2人姉妹で、親は離婚して母親に引き取られた。その後、新しい父親が来て、最初は慣れなかったみたいだけど、だんだんと仲良くなれたの。でも、舞の妹と弟、つまり、その父親の本当の子供が産まれた時から舞に対する父親の態度が急変した。寝る時に本を読んでいると、いきなり部屋に入ってきて、電気を消した後、頬を数回強く殴ったり、舞が家に帰ると、その父親と妹に{ドロボードロボー}ってドロボー呼ばわりされたり。もう散々だった。」