自分がさっき見たものを思い出し、まさか…という思いが脳裏を過ぎる。 けれどあたしはそれをすぐに拭い去った。 だって大事な試合前だもん。健太がそんなことしてるはずがないよ。 それにそういった噂、聞いたこともないし。 うん。ないない。 さっさとここを通過して健太にお守りを渡さなくっちゃ。 ……でもちょっとだけ。 そんな興味本位から、木の幹からちょっこっと顔を出して―― ――あたしはその場にへたり込んだ。 抱き合ってたユニフォーム姿の男が、紛れもなく健太だったから。