思わず顔を背けるあたしに、お構いなしに話しかける健太。
「コンビニでも行ってたん?」
「み、見れば分かるでしょ!」
「ははっ、またそのセリフ」
「…………」
「夏休み元気してた?」
「…………」
あたしは手にぶら下がっているコンビニ袋を握り締めた。
なんで健太はまたあたしを構うのよ。
なんで話しかけてくるの。
人の気も知らないでのん気に話しかけてくる健太に、込み上げてきたものは苛立ちだった。
顔を背けたままその場に立ち止まっていると、
「えっ!」
あたしの手にあった飲みかけのペットボトルがスッと奪われ振り返ると、
それを手にした健太が口につけてゴクゴクと喉を鳴らして飲みはじめたんだ。
「ちょっ! なに勝手に飲んで…!」
「くぅはぁーー。やっぱ夏は炭酸に限るよな」
なんて豪快に声を出す健太。
さっきのあたしと同じ飲み方に、思わず「あっ」と言ってしまいそうになった。

