「うわぁーー…」



石段を一気に掛け上がって、

ゼイゼイする呼吸を落ち着かせ顔を上げた先に広がっていた景色に、あたしは思わず歓声を上げた。


小さな町に広い海。

真っ青な空には入道雲が浮かんでいる。



「すっごーい」


「この町イチの眺めなんだぜ」



何故か自慢げに言う健太。


でもそんなことも気にならないくらい、目の前の景色は素晴らしかった。


この町、一瞬で好きになっちゃったかも。


両手で口を押さえたりして感動に酔いしれていると



「あれ? みわ靴は!? かたっぽ履いてないじゃん! うわ、ダッセぇー」



健太は裸足のあたしの片方の足元を指差しお腹を抱えてゲラゲラ笑い出した。


走ってる最中に脱げちゃったんですー。

もう、誰のせいだと思ってるのよ。


ぷうっと頬を膨らますけれど、あまりにも遠慮なく笑う健太と自分の間抜けな足元に



「あはっ、あはははは」



あたしも一緒になって笑ってしまったんだ。