お頭は大きい声で「頼む!」と叫んだ。


「俺様はあんたの言う通り、何もしてなかったっ!あんたとなら俺様でも何かこの国の為に出来そうな気がするんだっ!」


勢いよく頭はカイルに向かって言った。
つまり、お頭は昨日のカイルをみて着いていこうと決めたようだ。
しかし、カイルは困惑したような表情をしている。


「そう言われても、俺はこの国の為に何かするとは言ってねぇよ?」
「えっ!?」
「俺、この国の人間じゃねぇし」
「えっ、だって……」
「正直、今はあてもない旅って感じだぜ?」


お頭は唖然としている。
まぁ、無理もない。きっとお頭は私たちが国の再建のため動いていると思ったのだろう。
間違ってはいないが、それはまだ志であり、実行には移せていない。
何をしたらよいかもわかってないのだから、確かに今は当てのない旅なのだ。
間違ってはいないが、少し歯がゆい。
すると、カイルはにやっと笑った。


「ただ」
「ただ?」


お頭は意気消沈した顔でカイルを見る。
そのカイルはチラリと私を見た。


「俺はこいつなら面白そうなことをしそうだと思っている」
「この小僧が?」
「お前よりは行動力はありそうだぞ」


カイル……。
お頭は不思議そうに私達を見ている。
お頭的には私みたいな「小僧」が何か出来そうなんて思えないのだろう。
私もそう思う。何かしたいが、出来るとは限らないし、やり方もわからない。
しかし、カイルは私が何か行動を起こすと思っているようだ。
確かにチャンスは狙うとは言ったけれど。
でも……。


「チャンスを狙うけど、そんなものなかなかない……だろ?」