「俺様たちは職を失い、国も陛下も全て失った。この気持ち!この国の人間じゃないお前にわかるものかぁっ!」
お頭はカイルに叫ぶ。
そんなお頭に、カイルは腕組みをして首を傾げた。
「わかんねぇよ?この国を救おうと……自分達の状況を何とかしようとしない奴らの気持ちなんてわかるわけないだろ」
「……っ!」
さっぱり理解できないといった顔でお頭を見る。
「むしろ、わかりたくもないね。自分から行動を起こさず、ただ口先だけで文句を並べる奴らなんて興味ない」
つまらなそうにカイルは机に寄り掛かる。
お頭は言い返せず、ただ俯くだけだった。
「シュリ。大切な物、帰して貰っていくぞ」
「あぁ、うん……」
静まりかえるなか、私が男たちを振り返ると慌てたようにひとりの男が短剣を持ってきて差し出した。
私は大切にそれを受け取り、背中から背負い、ローブを羽織った。
良かった。なんかホッとする。



