「カイルがやったの?」
ボソッと呟くとカイルはそいつらを跨ぎながら、振り返った。
「寝ててもらえなきゃ、中入れないだろ?」
さも当然のように。
私はアハハと乾いた笑いを返す。
そうだった。この人、意外と腕が立つんだった。この程度の見張りなら迷うことなく倒してしまうのか。
気絶している見張りを跨いで、部屋の外に出る。部屋は小さなロッジのような小屋だった。
そして、その小屋の数メートル先の隣の建物には煌々と明かりが付いている。
間違いなくあそこにさっきのお頭達がいる。
そして、あの中に、短剣がある。
「さて、行くか」
少し面倒くさそうにカイルが体を伸ばしながら言った。
「えっ、正面から!?」
「あぁ。じゃなきゃ、どっから入るんだよ?」
何を言っているんだとばかりに、眉を片方上げて聞き返してくる。
確かにそうだけど……。
堂々とし過ぎじゃないかな?
普通、忍び込んだりするのではないのだろうか。
しかしカイルは迷うことなく堂々と入り口扉へと向かった。
扉の前まで行くと、中からは男たちの酔っ払った声が聞こえる。
その中にはお頭の声も混ざっていた。
思わず緊張して手に力が入る。
「シュリ」
「ん?何?」
隣のカイルを見上げると、口角を上げて目元を鋭くさせて私を見ていた。
「俺から離れるなよ」
そう低く呟いて、カイルは足で扉を蹴破った。



