狙われし王女と秘密の騎士



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ーー何かが私に触れて、身体がビクッとする。

目を開けても辺りがボヤッとする。
少しずつ視界が開けてきた。
どうやらいつの間にか眠ってしまったようだと気付いた。
ボンヤリ頭を上げると、目の前に人影があった。


「のんきなもんだよな」


目の前で聞こえる低い聞き覚えのある声に意識がハッとする。


「自分の置かれている状況わかってるのかよ」
「カイル…?」


部屋の薄暗さに目が馴れてくるとその姿がよく見えた。
しゃがんでこちらを呆れたように見つめる、やたら整った顔の男の人。頭に巻かれたダーバン。
そこには間違いなくカイルの姿があった。
助けには来ないと思っていたカイルの姿があった。


「どうしてここに?」
「宿に戻るときに、あいつらが先に入って行くのが見えてお前が連れて行かれた。後をつけて、それでタイミング見て出て来たんだよ」
「まさか、助けに来てくれたの……?」



私は驚きを隠せない。
だって、来てくれないと勝手に思っていたからだ。
カイルが私を助けにくる理由もないのだし。
そんな私を見て、カイルはフッと笑った。


「当然だろ。あんまり俺を見くびるなよ。そんなに薄情な人間じゃねーから」

「カイル」



感激してジワッと涙が浮かぶ。