やっぱり、そういうことか。
予想はしていたが、結局、振られた逆恨みではないか。
呆れているとさらに男はヒートアップする。
「アイツもなんだってこんなガキがいいんだ!今までは俺様にいい顔してたくせにっ!」
その暑苦しい感じに愛想ついたんじゃ?
とはさすがに言えない。
さて、どうしたものか。
「だからって、俺を恨まれても困るよ」
「うるせぇ!テメェを吊るし上げねぇと俺様の気持ちが治まらねぇんだ」
「冗談でしょ!?理不尽すぎる!」
この単細胞が!
しかし、状況はかなり良くなかった。
相当、怒ってる。
とりあえずどうにかして逃げないとまずい。
私は後ろで縛られている手をそっとローブの中に入れた。
「っ!」
そこにはあるはずの物がない。大切なもの。
短剣がない。
私が真っ青になっているとそれに気がついた男がニヤリと口角をあげた。
「テメェが探しているのはこれかぁ?おいっ!」
「はい、お頭!」
私を連れ去った男が急いで持ってきて、私を逆恨みしている男ーーお頭と呼ばれた男ーーに手渡した。
「立派な短剣を持ってるじゃねぇか」
「触るな、返せっ!泥棒!」



