狙われし王女と秘密の騎士




「!?は、はなせぇ!」
「離せ、じゃない。何してくれるんだよ」


カイルは呆れたように溜め息をついた。
見ればこどもはまだ幼い少年だ。負けん気の強そうな顔でカイルを睨んでいる。


「く、くそぉ!」


少年は力で押そうとするが、大人の力には敵うわけもなかった。
カイルは掴んでいた棒をパッと離す。
すると少年はその場にコロンと転がった。


「いててっ!」
「おい、坊主。俺らに何の用があるんだよ?」
「……お前らよそ者だろっ!よそ者はおいらがやっつけるんだ!」
「ほぅ~……」


カイルはしゃがみ込み、尻餅をついている少年のオデコをツンツン突っついた。


「やめっ、やめろよっ!やめろってぇ!」


少年は嫌々と首を振ったり手で払おうとするがカイルはなかなか止めない。


「カ、カイル。嫌がってるよ!?」
「いやぁ、ずいぶん勇ましい事を言うなと思ってさ」


カイルは面白がる目で少年を見ている。
どうやら気に入ったらしい。
仕方なく私はカイルの隣にしゃがみ、少年を覗きこむ。


「ねぇ、君。どうしてよそ者は嫌なの?ここら辺は隣街への道でしょう。よそ者は沢山通るんじゃないかな?」
「うるさいっ!」


そう怒鳴って走り去ろうとしたが、その後ろ首を カイルが掴んで引き寄せた。