街の中心を抜けると、民家はまばらとなり、田や畑、林道などが増えてくる。
畦道も増えるし、舗装されていない道路も多い。一気に田舎の風景になる。
長閑だ。
カイルは私の二、三歩前を歩いていた。
「隣街までは半日くらいかかるな。」
のんびりとした声に、私は顔をあげた。
ずっと歩きながら気になっていたことを口にした。
「うん……。ねぇ、カイル?」
「なんだ?」
カイルは立ち止まり振り返った。
私も足を止める。
「その、カイルはこの国の人じゃないんでしょう?なら、俺を置いて行ってもいいんだよ?」
「どーゆー意味だ?」
「いや、何か目的があって旅をしてるのかと思ったから……」
カイルは旅人だといった。もしかして、何か目的があったのかもしれない。
だったら、自分の目的を遂げてほしいと思った。
私のせいでこんなことになってしまったが、カイルは別の国の人だし、逃げればなんとかなる。私に付き合うことはないのだ。
今現在、サルドア兵士が追ってくる様子もない。何とかなるような気がしていた。
すふとカイルはニッと笑った。
「目的はないよ。俺はただ、いろんな国を見て歩くのが好きなだけだから」
「しかし」
それに…とカイルは私の言葉を遮り、近寄った。
身体が付きそうなくらい側にくる。



