「シュリ! 無事だったかぁ!」


全てのかたがつき、街で瓦礫の撤去を指示していたお頭を訪ねた。
お頭は私を見るなり、嬉しそうに笑顔を見せる。


「お頭も無事で良かった」
「まぁなぁ。こっちは事前に仲間も集めて準備していたから被害は最小限で済んだといえるなぁ」


少し複雑に街を見渡す頭につられ、私も辺りを見渡す。
街やお頭の様子が気になり、街へ降りてきたが、死者は奇跡的に国民には出ていなかった。
ただそれなりに争いはあったので、多くの家や物は壊れてしまった。負傷者も多い。
それらの保証は国で行うつもりだ。
お頭は兵士や仲間に指示を出し、リーダーシップをとっていた。


「ナリエル国兵士はもちろんですが、身を隠していたり、制圧されていたエルシール兵士が守ってくれたんですよ」
「シュカ王女や国王が無事だと聞いて、立ち上がったと言っていました」


来る途中に会った国民が口々にそう言っていた。
その表情は安心して笑顔も見られる。


「で? そっちはどうだぁ?」
「なんとか政治も回りそう。お父様も主要大臣らも大きな怪我はないから」


破れ、残ったサルエル兵士も咎められず国に帰り始めている。
国王崩御を聞いても、反乱が起こるわけでもなく、むしろその姿は身が軽そうに見えた。