創君。

これはわたしのクラスメートの名前です

わたしは彼に一目惚れをしました

4月のことです
彼は窓際の席に座っていました
窓からは満開の桜が見え花弁はちらりちらりと教室の中へ入っていきます
その花弁の中で彼は本を読んでいました
窓から入ってくる光に照らされてその横顔はとてもまぶしく彼はわたしとは全然別の世界にいるようでこれは物語の中の話なのではないかと思いました

新しいクラスで友達もできわたしはそれなりに楽しい生活を送っていました
このままでも別に思い出はたくさんできて普通に良い時間を過ごせると思っていました

でも創君をみた瞬間に
「わたしには創君が必要だ」
なぜか強くそう思いました
なぜだかは分かりません

もしかして、これが「運命」ですか?

それからわたしはなんとか距離を縮めようと創君に話しかけることにしました

「あ、あの…」

その時はまだ創君の名前を知らなくて何と声をかけていいか分かりませんでした

「…なに?」

ちょっと怖い声で創君は返してくれました
その瞳は美しかったけれどあまりのまっすぐさにすぐ目をそらしてしまいました

「用件は?」

「いや…ちょっと自己紹介のつもりで?」

創君は面倒くさそうに頭をかきながら言いました

「読書の邪魔。」

あまりにも声のトーンが低かったのでわたしは慌ててその場を離れました

これがわたしたちの初めての会話です