*あなたを失いたくない*


広間を抜け、広い迷路のような
廊下を必死に駆け庭園にでた。


きれいな薔薇の咲く姫のお気に入りの庭だ。



・・・ハァ・・ハァ・・ッ・・。



荒い息がまわりに響き渡る。



・・・・・・・。


・・・・ガサッ。

 

「何?」


「誰かいるの?いるなら出てきなさい。」



透き通るようなか細い声だったが
妙に威厳があった。




・・・ガサッ・・ガサッ・・。



姫の背後から再び音がした。

すばやく振り向くと



見目麗しい少年が立っていた。