冷蔵庫を開けると夏紀の手料理が入っていた。

温めもしないで俺はがっついた…。
夏紀自慢の手料理がしょぱいのは俺の涙のせいだと気づく。

俺は夏紀と仲直りがしたくてコンビニに向かった。

夏紀の好きなデザートを何個もカゴに入れる。
ショートケーキやシュークリーム…。
きっと『ごめん』と言って"これ"を差し出したら夏紀は笑いながら『太るじゃない』と言うだろう。

なぜ分かるかというと、俺がワンパターンだから。

毎回、仲直りしたいとき甘党の夏紀にデザートをいくつも渡す。

夏紀は笑顔でそれを受け取ってくれる。

だから俺はいつもの様にデザートを買った。

………なのに

まだごめんと言っていない。
俺は甘い物が嫌いなのに…あのデザートどうすりゃいいんだよ…。

涙が止まらない。

男に夏紀は連れ去られたのか…。

それとも今日の仕返しに夏紀が仕組んだのか…。


―ガタッ


俺は小さな音を聞き逃さなかった。

ゆっくりと音の方を向くとトイレがある。

最後の希望をかけて俺はトイレへ走った。