帰り道


「俺が未来を守るって
カッコいいこと言って
ゴメン情けないとこ見せちゃった。」



はぁくんの背中を
見ながら歩いた。



「なんもだよ。
人間って弱いとこもあるよ。
そんなとこは
私が支えてあげるよ。」



「あはは~
未来に支えてもらうのか?」



「帰ったら最後にやることがあるの。」



「え?」



「また泣いちゃうんだ……。」



「どうした?」



「翔くんのノートを
今日読むから…また泣いちゃうよ。
昨日も写真見ながら
大洪水で…涙ってかれること
ないんだね。
だけどもう今日泣いたら…
前を向かなきゃって……
翔くんも心配するから……」



「そっか…
先生 未来にいろんなもの
残していけてよかったな。」

私の手をとった。


左手の薬指に
はめられたダイヤのリング


はぁくんは無言でそれを見ていた。