犬が興奮してるのが気になった。


「大丈夫
今助けてやっからな~」



犬の頭を優しく何度も
撫ぜると
不思議に魔法がかけられたように
静かになった。


紐のひっかかりをはずして
翔登は犬を抱いた。


「いい子だぞ。
暴れんなよ……。
もうすぐ飼い主に会わせてやるから」



中型犬よりは
まだ大きい犬だった。



上では皆が
犬を受け取る準備をしていた。


飼い主には少し
離れたところにいるように
指示をした。


体勢が悪い中で
翔登が登ってきた。



犬が暴れないように
優しく声をかけながら・・・・


その時だった。犬を受け取った瞬間
半狂乱だった
飼い主が犬の名前を呼んだ。



犬の魔法が解けた。
犬は飼い主会いたさに
暴れ出した。



「うわ!!!」


後ろ足で蹴られた
翔登は体勢を崩した。



「翔登!!」



翔登の体は転がるようにして
崖の下に消えて行った。