携帯を持って
何度も何度も翔くんに
電話をかけた。


圏外だって知ってるけど



もしかして
奇跡が起きて


翔くんと繋がるかも
知れない・・・・



滑落したのが翔くんだと知って
私は闇の中にいる。



明日の朝
捜索に入るって



一人できっと心細いに
違いない……



ケガしてないだろうか…


早く朝にならないかな……



きっと私の名前を
呼んでいる・・・・・。



「会いたい」って・・・・



一睡もできなかった。



何度も愛しい声の
留守番電話を
再生した………。



「愛してる……」




泣くことしかできない
自分を無力だと思った。


祈るしかできない自分に
いらついた。



こうしてる間にも
翔くんは苦しんでいる…
そう思うと
胸が張り裂けそうだった。