日が登ってくる
空がオレンジ色になってきた。


「行かなきゃ…」

そう言いながら
翔くんは私を離さない。


「行かないの?」

おかしくなって私は
そう聞いた。



「行くよ。
だけど…なんだろ…
今日はこうして抱き合っていたい…」


そう言って
また私の唇に触れる。


「翔くん…」

唇が離れた瞬間に呼ぶ
私の声をまた唇で
ふさぐ……


「時間大丈夫なの?」



「だいじょばない…
これがホントに…


最後のキス………」



  最後?



なんだろう
今ちょっとこの言葉に
ひっかかった・・・・・。


でもすぐに甘いキスに酔って
私はそれを
忘れた………。


やっと
唇を離して
私を抱きしめた。



「いってきます~」

真っ赤な空に 翔くんが
溶けそうだった。


「気をつけてね~」

翔くんのバイクが朝日に
溶けて行った。