樹理は酔って
昔話を泣きながらするんだ。



「あの頃はほんとに
愛してる人が
そばにいるあたりまえさに
慣れてしまっていた……
それがどんなに幸せなことだったか・・・」



酒を止めると
泣きながら暴れた。


「仕事のためって……
さんざんおもちゃにされた…」


よく噂で聞く
芸能界はやっぱ本当で


樹理は今回の仕事を
体を張って獲得した。


それを回りに嗅ぎ付けられて
集中攻撃を受けて
心身ともに壊れかけていた。



「バカにされて
蔑まれて……私……
なんてことしたんだろ……
情けないよ
翔登…死にたいよ…」



やっとのことで
ホテルに連れていって
俺は一晩中

樹理の手を握っていたんだ。


「俺には愛してる人がいるから
もう…こんなことでしか
おまえを支えてやれない
これ以上のことを
俺に望んでも…無理だからな…」



樹理は俺の名前を呼んで
泣きつかれて寝てしまった……


今の話しを信じるか
信じないかは


あとは未来にまかせるよ……。



樹理をほっとけなかったんだ。