それから俺らはずっと一緒だった。


俺は野球バカで
それをずっとマネージャーとして
樹理は支えてくれた。



いつしか俺らのことは
親も公認で
大学を出たら
すぐに結婚しろと言うくらいだった。



俺が教師を目指すと
樹理も自分も教師になると
言いだして
結局大学も同じところに
通った。



樹理の誕生日に
一緒に出かけた東京で
俺達の運命が変わったんだ。



スカウトされた樹理は
その場を笑顔でやりすごしたし
俺らの一緒に生きてきた日々は
そんな簡単に壊れるものじゃ
ないって

別れるなんて夢にも
思ってなかったんだ。



雪の日だった。



「翔登から離れて
違う夢を追いかけたい。」


俺には何の相談もなく
樹理はもうプロダクションと
契約をしていた。


それからしばらくして

「最後に会いたい」と連絡が来て
樹理は俺に熱く夢を語った。


俺との長い年月を
捨てて
樹理は俺から旅立ったんだ。



夢を掴むからって


俺はしばらく
飛行機を眺めていた……


未練 恨み
そして絶望が俺を押しつぶした。