紗結は元彼を吹っ切って俺のところに戻ってきてくれた。 吹っ切ることも戻ってくることもつらかったはずなのに…… なんで紗結ばっかり苦しまなきゃなんねーんだよ…… 敦史は紗結に追いつくと、腕を掴んで止めた。 紗結は顔を背けたまま泣いていた。 「紗結……」 敦史は恐る恐る紗結の名前を呼んだ。 紗結は嗚咽を繰り返している。