敦史は紗結をきつく抱きしめた。 紗結は溢れ出る涙を必死に拭った。 そして敦史の背中にゆっくりと腕を回した。 敦史はびっくりして紗結を見る。 「アツ、ごめん……あたしもアツが好き」 紗結は敦史に想いを告げた。 あの日。 想いを伝えあった日に言った紗結の気持ちは、 決して嘘ではなかった。 敦史は紗結を抱きしめながら想いを噛みしめた。 「だから……全部話すね」 紗結はそう言うと、敦史の腕の中から離れた。 そして壁にもたれかかると、話し始めた。