本当の愛を知った日



「避けてんだろ!?
メールも電話もずっと無視して…
ふざけんなよ!!」


敦史は紗結を見ながら叫んだ。


教室にいた生徒達が二人を見つめる。

幸い、まだ始業ベルが鳴るまでだいぶ時間があったため、
人は少なかった。


けれど、二人は見物ものとなった。


だが、そんなの気にしてなかった。

いや、気にする余裕なんてなかった。


「ちょっと来い」


敦史はそう言うと、紗結の腕を引っ張って歩き出した。

紗結は下を向いて引っ張られるがままに着いていく。

そんな二人を奈津穂は心配そうに見つめていた。