紗結の教室へと着くと、窓際の席で外を見つめる紗結がいた。 その隣で、敦史に気付いた奈津穂が手招きをしている。 敦史は一歩一歩、紗結の元へと足を進めた。 「紗結」 敦史が名前を呼んだ途端、紗結の体がビクッと跳ねた。 そしてゆっくりと振り返る。 「話、あるんだけど」 敦史は紗結を見つめて言った。 紗結は敦史から視線をそらすと立ち上がった。 「あたし他のクラス行ってくる」 教室を出て行こうとする紗結の腕を敦史が掴んだ。